技術情報

 

世界初のオールアルミ製コンデンサー(アルミ製熱交換器)

 

 自動車のボンネットを開けると、先頭の部分に「コンデンサー」が装着しています。

 熱い夏、車内を快適にするエアコンの心臓部です。当社では、Modine社(米国)と共同で1988年、世界に先駆けてオールアルミ製のコンデンサーの量産化に成功しました。このコア技術をもとに、電気電子分野、空調分野、産業分野へ展開しています 。

 アルミニウムは熱伝導性の良い材料であり、この特長を最大限に活かすことで、省エネルギーにつながっています。

 

 

小型化と軽量化の技術

 

 自動車用のコンデンサーは、特に小型化と軽量化が求められます。このため、当社では、パラレルフロー型コンデンサー(アルミ製熱交換器)を開発しました。従来型のサーペンタイン型(SPC)と比べて、当社のアルミ製熱交換器は小型化、軽量化を達成し熱交換性能も高いことから自動車の燃費向上にも貢献しています。

 

素材開発から製品化技術まで

 

 パラレルフロー型コンデンサー(アルミ製熱交換器)は日軽金グループの様々な技術に支えられています。

 冷媒が流れる部品(扁平管)の材料は日本軽金属㈱が独自に開発した耐食性に優れたアルミ合金が使用されています。また、放熱に重要な役割を果たす部品(ヘッダー、フィン)の材料も日本軽金属㈱で製造されています。製品の接合時には「ノコロックろう付け法※1」が 用いられており、一部の部品の接合には、東洋アルミニウム㈱の「Toyal Hyper Braze®※2」が使用されています。まさにグループの技術を結集した製品です。

 ※1.ノコロックろう付け法:「ろう材」と呼ばれる接着剤を使って行う接合のことです。

 接合する製品を溶かすことなく、接合することができます。(下記『ノコロックろう付技術』を参照)

 ※2.Toyal Hyper Braze®:必要な場所に塗布をコントロールできるよう開発された、塗料の機能をもつペースト状ろう材。

 

各種空調・冷凍冷蔵機器用アルミ製熱交換器の構成図

 

アルミ製熱交換器PFC(パラレルフローコンデンサー)を構成する基本構造は、冷媒の入り口および出口に配置された1対のへッダーパイプ(タンク)と、 その間に複数配置された扁平管(冷媒管)および各扁平管の間に配置された放熱用コルゲートフィンによって構成されます。 上記部品の一体接合にノコロックろう付け法を採用しております。

 

精密アルミ押出扁平管(冷媒管)

 

 ヘッダーパイプに一旦貯まった冷媒を全パス構造で放熱部に散開させます。

 この全パス構造によって内部圧力損失増大を押さえつつ、冷媒管の扁平形状とコルゲートフィンの組み合わせで最大限の接合面積を作りだし、高いフィン伝熱効率を実現しております。

 

扁平管(冷媒管)  

高性能ルーバー付コルゲートフィン

 

 コンパクト性と軽量化が常に求められるカーエアコン用コンデンサーにおいて、これまで研究を重ねてきた高効率スペックです。

 ルーバーは切れ角にこだわり、伝熱面積を稼ぐと共に高性能化に有効な適度な空気の乱流効果を生みだします。

コルゲートフィン      

 

ノコロックろう付け技術

 

 PFC(パラレルフローコンデンサー)は日本軽金属が育てたノコロックろう付技術とModine社のパラレルフロー技術の融合により、当社で世界で初めて生産しました。

 

 

 

 

 

 

 

各種空調・冷凍冷蔵機器用アルミ熱交換器の信頼性

 

各種空調・冷凍冷蔵機器用アルミ熱交換器の標準品は、以下の通りです。

静圧破壊強度 13.3MPa以上
繰り返し加圧強度 0~2.9MPa×3回/分を10000回実施後、異常ありません。
繰り返し加熱強度 100℃×1hr→冷却1.5hr→-20℃×1hr→加熱1hr/サイクルを10サイクル実施後、異常ありません。
耐食性試験 CASS試験1000hr、 SST試験5000hr相当の実力を有する。